はじめに

健診の結果に「骨密度が低め」「要精密検査」と書いてあった。でも、どこも痛くないし、毎日ふつうに動けている。病院に行くほどなのかな……と、そのままにしていませんか。

そもそも、骨の検診を受けている人は多くありません。市町村が行う骨粗しょう症検診(主に40〜70歳の女性が5歳ごとに対象)の受診率は、全国平均で5%台にとどまっています(出典3、出典7)。

骨密度を指摘されたということは、自分の骨の状態を知るきっかけを手にしたということです。この記事では、検診結果の見方と、その後どうすればいいかを、学会や公的機関の情報をもとにお伝えします。

女性は、閉経前後から骨密度が下がりやすくなります

女性の骨の量は、20代までに最大になります。その後、40代に入ると少しずつ減り始め、女性ホルモン(エストロゲン)が急に減る閉経前後の50歳ごろから、さらに急激に減っていきます(出典2)。女性ホルモンには、骨が壊されるのを抑える働きがあるためです(出典6)。

そのため、骨粗しょう症は女性に多い病気です。2015年の人口をもとにした推計では、40歳以上の患者数は1,590万人で、そのうち女性が1,180万人を占めます(出典4、出典7)。

閉経のほかにも、やせ型の体格、過度なダイエットや偏った食事によるカルシウム不足、運動不足、日光に当たる時間の不足、喫煙、過度の飲酒なども、骨粗しょう症の原因になります(出典2)。

更年期について詳しくは、「更年期かな?と思ったときに知っておきたいこと」もご覧ください。

骨粗しょう症は、痛みのないまま進む病気です

骨粗しょう症は、骨の強さが落ちて骨折しやすくなる病気です(出典1)。骨密度が下がっていても、それだけでは痛みなどの自覚症状はほとんどありません(出典2)。背骨の骨折でさえ、約3分の2ははっきりした症状がないとされています(出典7)。「痛くないから大丈夫」とは言い切れないのは、このためです。

問題は、骨折してから気づくことが多い点です。特に足の付け根の骨折は、その後の生活に大きく影響します。足の付け根を骨折した人を対象にした国内の調査では、骨折する前にほぼ自立して外出できていた人は約51%でしたが、骨折から1年後には約27%に減っていました(出典7)。また、介護が必要になった原因のうち、「転倒・骨折」は13.9%を占めています。骨粗しょう症によるものに限らない数字ですが、骨折が介護の大きなきっかけになっていることが分かります(出典7)。

それにもかかわらず、骨粗しょう症の人のうち治療を受けているのは、20〜30%程度と推定されています(出典5)。

検診結果の見方

「YAM(ヤム)」という数字

医療機関で腰の骨や足の付け根の骨の骨密度を測ると(後で紹介するDXA法)、結果に「YAM ○%」と書かれています。YAMは、若い成人の骨密度の平均値のことで、それを100%として、自分の骨密度が何%にあたるかを表しています。これまでに骨折したことがない場合の、一般的な目安は次のとおりです(出典7)。

YAMに対する割合目安
80%以上正常の範囲
70%を超え80%未満骨量が減ってきている状態(骨量減少)
70%以下骨粗しょう症

ただし、数字だけで診断が決まるわけではありません。骨が弱くなって起きた骨折(立った高さからの転倒など、軽い力で起きた骨折)があると、判断が変わります。背骨や足の付け根の骨折がある場合は、骨密度に関係なく骨粗しょう症と診断されます。手首や腕の付け根などの骨折がある場合は、YAMが80%未満で骨粗しょう症と診断されます(出典7)。実際の診断は、ほかの病気がないかどうかも含めて、医師が総合的に行います(出典7)。

かかとの測定は「入り口」です

検診でよく使われるのは、かかとの骨に超音波を当てて測る方法です。放射線を使わず手軽に測れますが、正確さにはやや課題があるとされています(出典1)。また、かかとの超音波の結果には、上の表のような骨粗しょう症の診断基準は設けられていません(出典7)。かかとの結果は表に当てはめず、検診票に書かれた判定(「異常なし」「要指導」「要精密検査」など)に従ってください。

そのため、検診で骨粗しょう症が疑われた場合は、腰の骨や足の付け根の骨を「DXA(デキサ)法」というX線の検査で測ることが強くすすめられています(出典1)。腰や足の付け根は、骨折すると寝たきりにつながりやすい場所です(出典1)。

検診で「要精密検査」と判定されたら、痛みがなくても、それが精密検査を受けるサインです。

受診の目安と相談先

次のような場合は、医療機関で相談しましょう。

  • 検診で「要精密検査」と判定された
  • 軽い転倒などで骨折したことがある(出典7)
  • 「要指導」だったけれど、自分の骨の状態が気になる

どこに相談する?

骨密度の精密検査や骨粗しょう症の治療は、主に整形外科で受けられます。骨粗しょう症を診ている内科や婦人科でも相談できます。更年期のことで婦人科にかかっている方は、まずはそこで相談してみるのもよいでしょう。

なお、DXA法の検査機器は、すべての医療機関にあるわけではありません。予約のときに「健診で骨密度を指摘されたので、精密検査を受けたい」と伝えると、検査ができるかどうかを確認できます。

持病や飲んでいる薬が関係していることも

骨粗しょう症の多くは、加齢や閉経、生活習慣によるものです。一方で、ほかの病気や薬の影響で骨が弱くなる場合もあります(出典1)。

たとえば、甲状腺の働きが強くなりすぎる病気や、喘息や膠原病などの治療でステロイドを長く使っている場合に起こることがあります(出典1)。このような場合、医師は、原因になっている病気への対応と、骨折を防ぐための治療を、あわせて考えます(出典1)。

そのため、骨粗しょう症が疑われたときは、背景にこうした病気がないかを医療機関で確認してもらうことが大切です(出典1)。受診のときは、今飲んでいる薬や、これまでにかかった病気をすべて伝えましょう。

ただし、ステロイドなどの薬を自分の判断でやめたり減らしたりしないでください。治療に必要な薬を続けながら、骨粗しょう症の治療を並行して行う方法もあります(出典1)。

長く飲んでいる薬との付き合い方については、「長く飲んでいる薬、このままでいい? 医師に『減らしたい』と言い出せない方へ」もご覧ください。

受診の前にメモしておくこと

次のことをメモにして持っていくと、医師に状況が伝わりやすくなります。

  • 健診・検診の結果(結果の用紙があれば、そのまま持っていく)
  • これまでに骨折したことがあるか(いつ、どこを、どんなきっかけで)
  • 最後の月経の時期(閉経している場合は、何歳ごろか)
  • 家族(特に母親)に骨粗しょう症や骨折の人がいるか
  • 今飲んでいる薬のすべて(ほかの病院の薬、市販薬、サプリメントも含めて)
  • これまでにかかった病気(甲状腺の病気、喘息、膠原病など)
  • 聞きたいことや、不安に思っていること

お薬手帳があれば、一緒に持っていきましょう。

治療が始まったら

骨粗しょう症と診断された場合、薬による治療を始めるかどうか、どの薬を使うかは、骨密度の程度、骨折の有無、年齢、栄養状態などを総合的にみて、医師と相談しながら決めていきます(出典1、出典7)。あわせて、バランスのとれた食事や運動といった日常のケアも大切です(出典1)。

自分の判断でやめないことが大切です

骨折を防ぐためには、ある程度の期間、治療を続けることが大切です。ところが、治療を始めても、1年後も続けている人は60%を下回るとされています(出典5)。

痛みなどの症状がないぶん、「効いているのか分からない」「もうやめてもいいのでは」と感じやすいのかもしれません。でも、自分の判断でやめるのは避けてください。治療を続けるか、薬を変えるか、薬によっては休薬を検討するかは、薬の種類や検査の結果を見ながら医師が判断します(出典7)。気になることがあれば、その気持ちを医師に伝えて、一緒に確認しましょう。

歯の治療を受けるときは

骨粗しょう症の薬の一部には、あごの骨のトラブル(顎骨壊死)を引き起こす可能性があるとされているものがあります(出典8)。歯科を受診するときは、お薬手帳を見せてください。お薬手帳に書かれない注射の治療を受けている場合は、そのことも歯科医師に伝えましょう(出典8)。

歯の治療の前に薬を休むかどうかは、歯科医師が処方した医師と相談して決めます。自分の判断で薬を休んだりやめたりしないでください(出典8)。

飲み方に決まりがある薬もあります。飲み方が負担に感じるときや、飲み忘れが続くときは、医師か薬剤師に相談してください。飲み方や薬の種類を見直せる場合もあります。

薬局でお手伝いできること

にこ薬局では、受診の前と、治療が始まってからの両方をお手伝いしています。

  • お薬の整理:ほかの病院の薬や市販薬、サプリメントも含めて、今飲んでいるものを一覧にします。受診のときに、そのまま医師に見せられます
  • 骨に関係する薬の確認:飲んでいる薬の中に、骨に影響することが知られているものがあるかを確認し、医師に相談したほうがよい点をお伝えします
  • 飲み方の相談:骨粗しょう症の薬の飲み方や、飲み忘れたときの対応などをご説明します

ご自宅にある薬を袋にまとめてお持ちいただく「ブラウンバッグ」という方法もあります。

なお、検査や診断、治療の判断は医師が行うものです。薬局では、あなたが医師に相談しやすくなるための準備と、治療を続けるためのサポートをしています。

にこ薬局はJR栗東駅東口から徒歩約1分。お買い物やお仕事の帰りにもお立ち寄りください。

まとめ

骨密度の低下は、自覚症状がほとんどないまま進みます。健診で指摘されたら、それは自分の骨を守るための大切なきっかけです。「要精密検査」なら医療機関を受診し、「要指導」でも気になる場合は医師に相談してください。準備に困ったら、薬局に声をかけてください。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の検査や治療については、医師または薬剤師にご相談ください。

出典

  1. 厚生労働省研究班監修 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ「骨粗しょう症、骨折」
  2. 日本内分泌学会「閉経後骨粗鬆症」
  3. 骨粗鬆症財団「骨粗鬆症検診」
  4. 日本生活習慣病予防協会「骨粗鬆症」
  5. 日本医事新報社「骨粗鬆症薬物治療Up-to-date〈ガイドライン2025年版を踏まえ〉」2025年(医療者向け)
  6. 日本女性心身医学会「骨粗鬆症」
  7. 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会(日本骨粗鬆症学会・日本骨代謝学会・骨粗鬆症財団)「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版」
  8. 厚木歯科医師会「骨粗鬆症(薬剤関連顎骨壊死)」

執筆・監修

にこ薬局 薬剤師 小田垣

2020年3月、JR栗東駅前にてにこ薬局を開局。

最終更新日:2026年10月10日

本記事は、文献調査と原稿作成の一部にAIを利用し、薬剤師 小田垣が内容を確認・監修しています。